1. ボトックス注射について
 
 ボトックスとはボツリヌス菌の神経麻痺タンパク成分を少量だけ抽出し、痙攣している 筋肉に直接注射することで、その筋肉がゆるみ、痙攣がおさまる(3ヶ月〜4ヶ月)
 という効果を医薬品として利用するものであります。
 
 1980年代からアメリカや英国などで
 眼瞼痙攣・斜視・顔面痙攣・痙性斜頚・美容治療(しわ・ たるみ取り)などに使用されて
 きました。
 
 日本では1996年より眼瞼痙攣に対して保険承認を受けました。
 2000年より片側顔面痙攣に対して保険承認を受けた治療法です。
 
  眼瞼痙攣(がんけんけいれん)
 
  目のまわりの眼輪筋(がんりんきん)という筋肉が、眼精疲労とはあまり関係なく、
  無意識のうちにけいれんする慢性の病気です。
  中高齢者に多く、初期症状はまばたきが増えたり、まぶしさを感じたりすることが多く、
  重症になるとまぶたが開かなくなり、目が見えない状態まで進行することがあります。
 
 
  片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)
 
  顔の表情をつくる複数の筋肉が、無意識のうちにけいれんする慢性の病気です。
  症状は片側の『眼瞼けいれん』に始まり、そのけいれんは次第に顔や頬、口、あごへ
  広がっていきます。重症になると顔がゆがんだ状態になることもあります。
  40代〜70代の中高年の方に発症することが多いと言われています。
  また、ドライアイを併発することがあります。
 
  ※一時的に眼瞼がピクピク痙攣するといった症状であれば、これは眼瞼ミオキニアといい
   特に疲れ目の時に症状が強くなるもので、ボトック治療の対象とはなりません。
 
2.治療法
 
 これまでの治療は、サングラス装用や点眼薬の使用により、ある程度症状は軽減 しますが、疲労や痙攣による不快感は症状を悪化させます。
 上記以外には、神経の興奮を鎮める内服薬や、手術療法などもありますが、
 やや効果が弱く、現在も、根治療法はありませんが、対症療法として、
 ボトックスが第一選択となることが多いです。
 ボトックスは、神経の伝達を阻害する成分で、筋肉を麻痺させる作用があります。
 これを、まぶたの筋肉に注射することによりけいれんを鎮めます。
 
 しかし、効果が3か月ほどで消失するため、定期的に再注射する必要があります。
 注射は、5〜10分程度の短時間で終わります。痛みはチクッとする程度です。
 
 
 ボトックス注射1回の費用
     保険3割負担           保険1割負担
     約16,000円    6,000円
 
         別途、診察料・検査代がかかります。
また、薬が出た場合は別途処方料がかかります。
 
 
3.効果
 
 ・注射後,2〜5日で効果が現れてきます。
 ・2〜4週間で効果が最大になります。
 ・3〜4カ月で徐々に減弱していき、再び注射前の症状に戻ります。
 ・再投与後は4〜5カ月の持続効果が期待できます。
 
  ※通常3〜4カ月経過すると,眼瞼痙攣・片側顔面痙攣の症状が再び出てきます。
   まばたきが多くなってきた,まぶしさを感じるようになってきた、などの症状が
   再び出てきたら、再注射の時期となります。
 
 
 
 
 
 
4.ボトックス注射の副作用
 
 頻度が高い副作用として皮下出血がありますが、これは注射に伴うもので、
 だんだんと吸収され問題はありません。
 また、閉瞼不全(まぶたがを閉じにくくなる)を起こすことがあり、それが 原因で流涙や眼が乾いたりといった症状がでてしまうことがあります。
 
 他には、眼瞼下垂複視(物がダブって見える)、調節痙攣(ピントが合いに くい) などがあります。
 まれではありますが、頭痛、めまい、発疹、全身の筋力低下などが起こり えます。
 
 しかしこれらの副作用は、薬が効きすぎている為で、
 薬の作用が減少し元の状態に戻るにつれて、そのような副作用はなくなって
 きます。
 特に初めての治療の時に出やすいのが特徴で2回目以降は著しく頻度が
 下がります。
5.ボトックス注射をした日は・・・
 
 
 皮下出血を最小減にするため、
 ・かがみこむ動作を避けましょう。
 ・注射部位を押したりもんだりせず、特に強く動かすのは
  やめましょう。
 ・帽子やヘッドバンドは着用しないようにして下さい。
 ・軽い入浴は可能ですが、洗髪や洗顔は控えてください。
 ・アルコールは控えてください。
 
 
 
6.ボトックス注射後の通院予定は・・・
 
  注射後、1週間・2週間・1ヶ月後の予定となります。


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